履歴

ゾヤ・スコロパデンコ

画家、彫刻家、そして相撲の観察者

1978年、クリヴィー・リーフに生まれる。モナコに在住・制作。以下は公的記録、本人の発言、報道に基づく。制作の現場の多くは、なおこの頁の外にある。

I

起源

アトリエで絵画と筆とともにいるゾヤ・スコロパデンコ
アトリエにて、2017年。Wikimedia Commons(ファイル:Artist Zoia Skoropadenko .jpg)。

ゾヤ・スコロパデンコは1978年、当時ウクライナ・ソビエト社会主義共和国にあったクリヴィー・リーフに生まれた。五歳よりウクライナの画家フルィホーリイ(グリゴリー)・シニツャに師事した。クリヴィー・リーフの国立美術学校に通い、のちにリヴィウのイヴァーン・フランコー記念国立大学でジャーナリズムを学んだ。

十代の頃は環境問題を扱うジャーナリストであった。大学では学生新聞Kameniar(カメニャール)を編集し、並行して語学を学んだ。

1999年に国際ジャーナリズムの学位を取得し、その後大学を追われた。ウィキペディアには根拠のないスパイ容疑の記録がある — 本人が劇的に語ろうとはしてこなかった話である。

チェルノブイリ原子力発電所を背に立つゾヤ・スコロパデンコ
チェルノブイリにて。背後に発電所。私的写真。

II

モナコ

aiiimaと記されたギャラリーの入口に立つゾヤ・スコロパデンコの肖像
東京・Aiiima Galleryにて。出典:zoiaskoropadenko.com/about。
彫刻台で作業するゾヤ・スコロパデンコ
彫刻制作の現場。出典:zoiaskoropadenko.com/about。

二十代前半に欧州を横断し、モナコに定住した。しばらくは翻訳者として働いた。そこでコート・ダジュールの美術界に入り、のちにADAGPの会員となった。2011年、モナコ公国政府より「モナコの画家(Artist-Painter of Monaco)」として認められた。

ラ・ヴィトリーヌ(ラ・ヴィトリーヌ・コンテンポレーヌ・ド・モナコ)を創設した。Palais de La Scala内の小さなギャラリーで、自身の作品と他の作家の発表に用いている。タコの胴体から形づくった彫刻と絵画のTORSOシリーズは、ロンドン、パリ、ブリュッセルなどでの展示の後、より広く知られるようになった。

III

日本

日本庭園で屋外制作するゾヤ・スコロパデンコ
日本庭園での写生。出典:zoiaskoropadenko.com/about。

スコロパデンコは少なくとも2000年代半ば以降、日本で繰り返し展覧会を開いてきた。モナコでのモナコ・日本交流や、東京、大阪、福島での展示が含まれる。2015〜16年、彫刻The Hope(希望)が福島県相馬市に設置された。台石は地元の人々が供した川石である。

大きな石の上にとまる小さな青銅の鳥、相馬市
The Hope(希望)、福島県相馬市。出典:zoiaskoropadenko.com/the-hope-sculpture。

在日ウクライナ大使館でも複数回、展示を行ってきた。2018年3月、イホル・ハルチェンコ大使が、福島の画家・鈴木達郎との合同展を開いた。チェルノブイリと福島にかかわる風景を扱った展覧会である。それ以前の大使館での展示にはFour Seasonsおよび5×30がある。

IV

希望(The Hope)

日本を通じて、チェルノブイリが再び作品に戻ってきた。相馬市ののち、キーウの国立チェルノブイリ博物館が、独自のHopeを求めた。石はジトーミル州産の赤御影石で、1986年に強く汚染された。高さはおよそ2.4メートルである。パリで鋳造された青銅の鳥は、福島県の県鳥キビタキを模している。事故から三十三年目の2019年4月26日、博物館入口で除幕式が行われ、館のコレクションに入った。

キーウの国立チェルノブイリ博物館前、咲く枝のそばに立つ赤い御影石と頂の小さな青銅の鳥
国立チェルノブイリ博物館(キーウ)のThe Hope(希望)。鳥は石の頂にいる。出典:zoiaskoropadenko.com/the-hope-sculpture。

2026年5月23〜24日の夜、ロシアのミサイルがポディルを襲った。修復を終えて一か月前に再開したばかりの博物館は屋根を失い、展示品のおよそ四割を失った。The Hope(希望)は損壊しなかった。

損傷した博物館から本を運ぶ救助隊員とボランティア。瓦礫の左側に希望の御影石が立つ
攻撃後の博物館、2026年5月24日。左側にThe Hope(希望)。写真:Mykhailo Markiv、毎日新聞経由。

V

相撲

塩を撒く二人の力士の墨画
墨の習作:取組前の塩まき。出典:zoiaskoropadenko.com。

長年、相撲部屋の内側と本場所で素描と絵画を続けてきた — 写真だけに依らず、直接観察から生まれた仕事である。主題は勝敗と同じくらい儀礼である。土俵、行司、横綱の綱、立ち合い前の静けさ。

自身の墨画の前で力士・安青錦と並ぶゾヤ・スコロパデンコ
安青錦とともに、墨作品の前で。Instagram。
相撲の土俵際で墨の素描をするゾヤ・スコロパデンコ、土俵上に日の丸
土俵際での素描。
絵画の前で安青錦と話すゾヤ・スコロパデンコ
同じ訪問での会話。
組み合う二人の力士の墨画
取組。出典:zoiaskoropadenko.com。
しゃがむ力士の墨画
構え。出典:zoiaskoropadenko.com。
壁に掛かった相撲情景の長い墨の巻物
相撲情景の巻物。出典:zoiaskoropadenko.com/taiho85。

繰り返し取り上げられる主題の一つが、大鵬幸喜(イワン・ボリシュコ、1940–2013)である。第四十八代横綱で、父はウクライナ系であった。2020年、在日ウクライナ大使館の後援のもと、大鵬の生誕80周年に合わせたバーチャル展Life of a Sumo Championを開催した。2025〜26年には北海道弟子屈町の大鵬相撲記念館で、生誕85周年のLife of the Championを再び大使館の支援を得て開催した。

大鵬記念館2025年展 The Life of a Yokozuna のポスター
大鵬記念館展のポスター。在日ウクライナ大使館の後援を記す。出典:zoiaskoropadenko.com/taiho85。

VI

横綱たちのあいだ

横綱・大鵬幸喜の額入り肖像とクリスタルのトロフィーがある記念館展示
大鵬相撲記念館:横綱・大鵬幸喜(全勝)と記された額入り肖像。出典:zoiaskoropadenko.com/taiho85。
歴史的な力士の肖像と現代絵画が並ぶ記念館の壁
歴史的な力士の肖像・写真のあいだに掛かった彼女の絵画。出典:zoiaskoropadenko.com/taiho85。
展示ケースと相撲の絵画がある長い展示室
展示風景、大鵬相撲記念館。出典:zoiaskoropadenko.com/taiho85。
土俵の墨画の前に立つ行司装束の人物
土俵の素描の前に立つ行司装束の来館者。出典は氏名を記していない。出典:zoiaskoropadenko.com/taiho85。

記念館の展示は、トロフィー、写真、大鵬の肖像のそばに彼女の作品を置く。装飾ではない。ウクライナの出自、日本の地位、そして同じ土俵に立ち返り続ける画家のあいだの対話である。

緑の地に綱を着けた横綱の絵画
綱を着けた横綱。出典:zoiaskoropadenko.com/taiho85。
巻かれた綱のそばの行司の絵画
行司と綱。出典:zoiaskoropadenko.com/taiho85。

VII

東京、2026年

赤地に円形の相撲絵画がある展覧会ポスター「相撲 — 神聖なる魂」
「相撲 — 神聖なる魂」のポスター。出典:zoiaskoropadenko.com/sumobyzoia。

2026年10月12日から18日まで、東京のパソナグループアネックス青山 / PASONA SQUAREにて相撲 — 神聖なる魂(SUMO: The sacred spirit)を開催する — 相撲部屋から生まれた現代作品を、相撲の伝統にゆかりのある歴史的資料とともに示す。

緑の屋根の両国国技館の絵画
両国国技館。出典:zoiaskoropadenko.com/taiho85。

ほかにも部屋はある。ここでは開かない。

出典

  1. English Wikipedia — Zoia Skoropadenko
  2. Ukrainian Wikipedia — Зоя Скоропаденко
  3. Japanese Wikipedia — ゾイア・スコロパデンコ
  4. Wikidata — Q29047269
  5. zoiaskoropadenko.com/about(略歴と展覧会一覧)
  6. Artist CV (PDF)
  7. SUMO: The sacred spirit — exhibition page
  8. Taiho85 — Life of the Champion
  9. Embassy of Ukraine in Japan — Life of a Sumo Champion (2020)
  10. Fashion Diplomacy — Embassy exhibition opening with Ambassador I. Kharchenko (2018)
  11. Wikimedia Commons — Artist Zoia Skoropadenko .jpg
  12. Vysokyi Zamok — interview (2015): Kameniar, degree in 1999
  13. zoiaskoropadenko.com/the-hope-sculpture および /chernobyl
  14. Vechirnii Kyiv — The Hope at the Chernobyl Museum (26 April 2019)
  15. Chas i Podii — opening of The Hope in Kyiv (2019)
  16. Mainichi Shimbun — 戦火免れた「希望」 (28 May 2026)
  17. NV — 40% of exhibits at the National Chernobyl Museum lost (25 May 2026)
  18. The Guardian — how Russian missiles devastated Kyiv’s cultural sites (30 May 2026)

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